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愛知県名古屋市のアパートマンション大規模修繕は創業55年の児玉塗装のオーナー様ブランド|アパマン修繕テック

アスベストが使われているアパート・マンションの大規模改修で注意すること

アスベストは、耐熱性や、防音性、保湿性などに優れていることから、かつては建物をはじめ様々な分野で広く利用されていましたが、深刻な健康被害が指摘されたことから、2006年以降はアスベスト製品はほぼ全廃されることとなりました。

そのため、近年建築された建物ではアスベストが利用されることはありませんが、法規制が開始された2006年9月1日より前に建築された建物ではアスベストが含まれている恐れがあるため注意が必要です。そのため、アパートマンションの大規模改修では、アスベストに対する事前調査が必要となります。

そこでこのページでは、アスベストの危険性やアパートマンションの大規模改修前に行うべき対策について説明いたします。

アスベストとは

アスベストとは、天然にできた鉱物繊維のことで、石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれています。不燃性や耐熱性、耐腐食性、耐摩耗性、耐薬品性、絶縁性、耐久性に優れた特性から、防火や防音、断熱用としてアパートマンションをはじめ、様々な建物において利用されてきました。

アスベストの代表的なものには、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)の3種類があります。

アスベストの危険性

アスベストは、非常に細い鉱物繊維なので、加工や処理の仕方によっては大気中に大量に飛散してしまいます。

アスベストが飛散すると、呼吸とともに人間の肺に入り込み、分解されることなく肺に残ってしまうという性質があり、長い潜伏期間を経て様々な重大な病気を発症させてしまうことが分かっています。

ただ、アスベストを吸引したとしても、すぐに発病するという訳ではありません。そのうえ、発病してもすぐには症状が現れず、病気がある程度進行するまで無症状であることが多いと言われています。

そのため、病気の発見が遅れ健康診断などで疾患が見つかった時には、すでに病気が進行しているということもあるので、定期的に健康診断を受けることがとても大切です。

アスベストによって発症するおそれのある病気の潜伏期間や症状

代表的な病気としては、中皮腫(悪性中皮腫)、肺がん(原発性肺がん)、肺線維症(石綿肺)、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚などがあります。特に、中皮腫の一種である悪性胸膜中皮腫のほとんどが石綿の吸引によるものと考えられます。

以下の表は、アスベストを吸引してからの標準的な潜伏期間と主な症状を病名別にまとめたものです。ただし、発症時期にはばく露した状況等などによって個人差があるため、あくまでも参考となる目安の期間です。

病名 標準的な潜伏期間 症状
石綿肺 15~20年程度 初期:息切れ、せき、喘鳴(ぜんめい)、運動能力の低下
進行した場合:呼吸困難
原発性肺がん 15年~40年程度 せき、たん、血痰(けったん)、胸の痛み、息苦しさ、発熱
悪性中皮腫 20年~50年程度 胸膜中皮腫:息切れ、胸の痛み、せき、発熱、全身倦怠感、体重減少
腹膜中皮腫:腹痛、おなかの張り、腹水貯留
びまん性胸膜肥厚 30年~40年程度 呼吸困難、反復性の胸の痛み、反復性の呼吸器感染
良性石綿胸水 40年程度 呼吸困難、胸の痛み

〈 参考:厚生労働省|アスベスト(石綿)に関するQ&A
〈 参考:独立行政法人 環境安全保全機構|アスベスト(石綿)とは?

アスベスト規制の歴史

アスベストによる健康被害は戦前から知られていましたが、本格的に対策に乗り出したのは戦後になってからです。アスベスト問題に対処するため、労働省(現・厚生労働省)は1960年(昭和35年)に「じん肺法」を施行しました。

じん肺とは、土埃や金属・鉱物の粉じんなどを長期間吸い込むことで発症する肺の疾病のことで、「石綿肺」もじん肺の一種です。じん肺法では、粉じん作業に従事した労働者への定期的なじん肺健康診断の実施を使用者に対して義務付ける等の措置がとられました。

その後、アスベストの使用は段階的に規制は強化され、現在では原則としてアスベストの使用は認められていません。

2005年6月には、大手機械メーカのクボタが「兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場の従業員74人がアスベスト関連病で過去に死亡し、工場周辺に住み中皮腫で治療中の住民3人に200万円の見舞金を出す」と公表しました。

この、「クボタ・ショック」とよばれる事件が発端となり、アスベストによる健康被害が国民にも広く知られるようになり社会問題となりました。

1975年:5重量%を超えるアスベストの吹き付け禁止

特定化学物質等障害予防規則の改正により、石綿含有率が重量の5%を超える建材を用いた吹き付け作業が禁止されました。重量%とは、ある物質100gの中に含まれる特定の物質の割合を示すものであり、この場合は、吹付け材100gあたりアスベストが5gを超えているものが使用禁止の対象となります。

改正後も、アスベストの含有率が5重量%以下である吹き付けロックウールは1980年(昭和55年)頃まで、湿式の吹き付けロックウールは1988年(昭和63年)頃まで使用されていました。

そのため、1989年以前に建てられたマンションでは、アスベストを含む吹付けが使用されている可能性が高いので注意が必要です

1995年:1重量%を超えるアスベストの吹き付け禁止

特定化学物質等障害予防規則の改正により、石綿含有量が重量の1%を超える建材を用いた吹き付け作業が禁止されました。また、労働安全衛生法施行令の改正により、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)については使用等が禁止されています。

2004年:1重量%を超えるアスベストを含む有建材、摩擦材、接着剤等、10品目の禁止

労働安全衛生法施行令の改正により、吹き付け作業だけでなく石綿含有量が重量の1%を超える石綿含有建材、摩擦材、接着剤等、10品目の製造や輸入等が禁止されました。

2006年:0.1重量%を超える石綿含有製品の禁止

労働安全衛生法施行令の改正により、石綿含有量が重量の0.1%を超えるものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則として禁止されました。ただし、一部の製品については、猶予措置がとられています。

2012年:0.1重量%を超える石綿含有製品使用禁止の猶予措置撤廃

一部の製品にとられていた猶予措置が撤廃され、石綿含有量が重量の0.1%を超えるものについてはすべて、製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。これにより、法令上はアスベストの使用等が全面的に禁止されることになりました。

現在、大規模改修を検討されている建物には、アスベストの含有基準が引き上げられた2006年以前に建てられたものも多いので、まずはアスベストが含まれていないかしっかりと確認することが大切です

アスベスト(石綿)のレベルとは?

アスベストは、飛散の危険性に合わせ作業レベルが3段階に分類されます。レベル3からレベル1に近づくにつれて危険度が上昇し、除去作業により多くの対策と費用がかかる傾向があります。

レベル1:発じん性が著しく高い

発じん性が著しく高く、危険性が最も高いアスベスト作業は、レベル1に分類されます。レベル1に分類される建材は「アスベスト含有吹付け材」です。アスベスト含有吹付け材は、アスベストにセメントやバーミキュライト、ロックウールなどと水を混ぜ、吹付け機で吹き付けたものです。

レベル1のアスベストは、主に以下の場所で使用されています。
・耐火建造物の梁や柱
・エレベーター周り
・ビルの機械室や立体駐車場の天井や壁

レベル1のアスベスト含有吹付け材を処分するには3つの工法があります。それぞれの解体処分工法は以下の通りです。

・封じ込め工法
アスベスト含有吹き付け材の上から薬液を吹きかけることで、外側からアスベストが飛散しないように封じ込める工法です。アスベストが残ってしまうデメリットがありますが、工期が短く、費用やアスベストの飛散を抑えることができます。

・囲い込み工法
アスベスト含有吹き付け材の上から、アスベストが含まれない板状の材料を取り付けてアスベストを密封する工法です。囲い込み工法も封じ込め工法同様にアスベストが残ってしまうというデメリットがありますが、費用は比較的抑えることができ、工期も短くて済みます。

・除去工法
アスベスト含有吹き付け材を、下地から取り除いていく工法です。処分の仕方はさまざまですが、専用の機材を使用して除去しなければいけません。

機材が必要であるため費用が高額になり、下地から取り除くので工期が長くなりますが、アスベストを完全に取り除くことができるため、最も推奨されている工法です。

レベル2:発じん性が高い

発じん性が高く、危険性の高いレベル2に分類される建材には、石綿を含んだ耐火被覆材や断熱材、保温材が挙げられます。アスベスト「練り込まれたもの」にシート状のもので、巻き付けて利用されることが多いため、レベル1の吹き付け材ほどの飛散性はありません。

しかし、もともと断熱目的で作られているので空気を含んでいて軽く、密度が低いため、いったん崩れると大量に飛散する恐れがあるので注意が必要です。

レベル2のアスベストは、主に以下の場所で使用されています。
・ボイラー本体や配管
・空調ダクトの保温材
・屋根用折板裏断熱材
・煙突用断熱材

レベル1と同様の作業を行いますが、レベル1の吹き付け材と違ってこびりついているわけではないので、配管ごと取り外すなどの方法もあり、レベル1よりも多少除去がしやすいという特徴があります。

レベル3:発じん性が比較的低い

発じん性が比較的低いレベル3に分類される建材は、レベル1とレベル2に該当しないアスベスト建材です。硬い板状に成形されたものが多く、割れにくいため、飛び散るリスクが低いという特徴があります。レベル3になると、一般的な木造住宅でも使用されている可能性もあります。

建材の例として、アスベストが混ぜられてある硬い床材や壁材(スレートやビニル床タイルなど)が挙げられます。成形されているため、破砕・切断をしない限り飛散する危険性は少ないという特徴があります。ただ、アスベストの含有量が高い場合もあるので、むやみに触れることはやめましょう。

レベル3のアスベストは、主に以下の場所で使用されています。
・スレート瓦やコロニアルなどの屋根材
・サイディング外壁材
・天井・壁・床などの内装材
・ビニール床のタイル
・排気や換気のためのダクトを連結するためのパッキン

レベル1やレベル2に比べると、飛散するリスクが低いので手作業での処分も可能です。以前は、令和3年の法令改正によりレベル3の建材も、特定建築材料に指定されたことによって、レベル1、2同様の義務や作業基準が適用されます。

大規模改修でのアスベスト調査とは

大規模改修をする際には、アスベストが使われているか確認した上で、安全に作業を行う必要があります。2022年(令和4年)4月1日には、石綿障害予防規則が改正されたことによって、工事前にアスベスト含有の有無を調べる事前調査が義務付けられました

一定規模以上のマンションでの解体や改修工事をする際には、アスベストの使用に関する事前調査を行い、その結果を労働基準監督署、および地方公共団体に電子システムで報告する必要があります。

アスベストの調査方法

アスベスト調査は、設計書などの「文書による調査」や建物に対する「目視の調査」を行います。アスベストの含有の有無が文書や目視による調査では分からなかった場合には、目視で見分けがつかない個所の一部を採取し、専門機関に依頼して特殊な顕微鏡やX線解析装置を使って含有量を分析する調査が必要です。

報告の対象となる工事は、「解体作業の対象となる床面積の合計が80㎡以上の解体工事」と「請負代金の合計額が100万円以上の改造・補修工事」と定められています。

そのため、大規模改修工事だけではなく、その他の補修工事であっても報告の対象となる場合があります。例えば、以下のような工事を行う場合には調査報告が必要となります。

・アパートマンションの給湯器の交換工事で、給湯器と作業工賃含めて100万円を超えるもの
・アパートマンションの給排水設備の改修工事で、請負代金が100万円を超えるもの
・アパートマンションの外壁塗装工事で、既存の塗装を剥離する必要があるもの
・アパートマンションの防水工事で、請負代金が100万円を超え、既存の塗膜や防水材を撤去する必要があるもの
・アパートマンションの屋根工事で、請負代金が100万円を超え、カバー工法のために建材に穴を開ける必要があるもの

ちなみに、2023年(令和5年)10月1日以降は、建築物石綿含有建材調査者講習の修了者、または日本アスベスト診断協会の登録者でなければ、アスベストの事前調査を行うことはできません

アスベストが含まれていたときの対処方法

大規模修繕工事の事前調査によって、アスベスト含有建材が見つかった場合には、「除去」「封じ込め」「囲い込み」といった工法で対策を行なう必要があります。

下は国土交通省のホームページの「安全対策の手引き」の一部です。

アスベスト含有建材や塗材を完全に取り除いてしまう除去工法であれば、アスベストの問題を根本的から解決することができます。

しかし、状況によってはどうしても除去できない場合もあります。その場合には、アスベストを残したまま上から薬剤を散布してアスベストを固定する「封じ込め工法」や、板状のもので覆う「囲い込み工法」という方法でアスベストの対策を行います。

アスベスト除去にかかる費用の目安

アスベストの処理費用は、建物の形状や施工条件などによって大きく異なります。また、処理する面積によっても処理単価には違いがあり、国土交通省のホームページでは、以下の費用がおおよその目安とされています。

アスベスト処理面積 除去費用
300m2以下 2.0万円/㎡~8.5万円/㎡
300m2~1,000m2 1.5万円/㎡~4.5万円/㎡
1,000m2以上 1.0万円/㎡~3.0万円/㎡

この表はあくまでも目安となりますので、実際の費用については、施工業者に相談しどのくらいの範囲で除去工事が必要になるのか、調査する必要があります。

アスベスト調査・除去で活用できる助成金・補助金

民間建築物に対するアスベスト(石綿)に対して国土交通省では、「調査」と「除去工事」それぞれに補助金制度を創設しています。

アスベスト調査に対する補助制度

アスベストの有無を調べるための調査費用に対する補助制度について、国が示している支給条件は以下のようになります。

補助対象となるアスベスト(石綿) 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール
対象となる建築物 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物
補助内容 吹付け建材中のアスベストの有無を調べるための調査に要する費用
国の補助額 原則として25万円/棟(地方公共団体を経由)

アスベスト除去工事に対する補助制度

民間建築物に対する石綿(アスベスト)除去、または囲い込み、封じ込めに対する補助制度について、国が示している支給条件は以下のようになります。

補助対象となるアスベスト(石綿) 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール
対象となる建築物 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物
補助内容 対象建築物の所有者等が行う吹付けアスベスト等の除去、封じ込めまたは囲い込みに要する費用(建築物の解体・除去を行う場合にあってはアスベスト除去に要する費用相当分)
国の補助額 地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)

ただ、補助金の申請窓口は各地方自治体となっており、支給対象や支給額が異なるので、近隣の地方自治体に確認・相談する必要があります。

一例として、愛知県名古屋市では、名古屋市民間既存建築物吹付けアスベスト対策補助事業が創設されており、アスベスト含有調査とアスベスト除去等に補助を受けることができます。補助内容については、以下の通りです。

  補助金額 対象建材
分析調査事業 限度額15万円
(対象となる費用の全額)
・吹付けアスベスト
・アスベスト含有吹付けロックウール
・吹付けバーミキュライト(ひる石吹付け)
・吹付けパーライト
除去等事業 限度額120万円
(対象となる費用の3分の2以内)
・吹付けアスベスト
・アスベスト含有吹付けロックウール

皆様の地域では補助金がどのようになっているか、自治体や施工業者に相談し、補助金制度がある地方自治体にお住いの方は、補助金制度の活用をオススメします。

まとめ

アスベスト問題は2005年に社会的な問題となった健康問題を発端に広く知られるようになりました。

現在ではアスベストの使用等が全面的に禁止されていますが、改正前の2006年以前に建てられた建物においては、アスベストを含んだ建材が使用されている恐れもあるため、まずはアスベストが含まれていないかしっかりと調査を行なうことが大切です。

2022年4月1日からは、一定規模以上のマンションにおける改修工事での調査報告が義務化され、アスベストが見つかった場合には、労働基準監督署や地方公共団体に報告し、必要な対策を講じる必要があります。

もし、アスベストが使用されていることを知らずに、大規模改修工事を行なってしまえば、アスベストの飛散によって事業者や周辺住民に健康被害を与えてしまう恐れがあります。

そのため、大規模修繕工事を検討される際には、まずアスベスト調査を行い、見つかった場合には入居者や近隣住民に対して除去工事などの理解を求めることが大切です。

大規模改修を検討している場合は、ぜひ一度アパマン修繕テックにご相談ください。

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