タイルの補修・修繕工事を行う一番の目的は、安全性です。
もちろん美観を良くする目的もありますが、タイルは劣化すると落下などの危険性があるので注意しなければなりません。
国土交通省では2008年から外壁タイルの打診検査を義務化しています。定期的な調査と報告を怠ると、マンション管理組合は罰則(100万円以下の罰金)の対象となります。それほど発生率が高い事故なのです。
このような事故の責任は建築基準法で定められており、オーナーや管理会社が責任を負うことになります。そのため、事故やケガを防ぐ為にもタイルの補修・修繕工事は欠かせません。
外壁タイルの落下事故防止については、名古屋市のホームページにも注意が出ています。
https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/page/0000122467.html
外壁タイルに関する実際の事故の例です。
・1989年11月21日北九州の公団住宅:タイル落下の事件で象徴的な大事故。男女3人が死傷する。
・2016年7月7日大阪市浪速区のビル:タイルが落下し、下にいた女性に直撃し軽傷を負った。
・2016年8月22日三鷹市のビル:台風の強風で剥がれ落ち歩いていた男性に破片が直撃してケガ。
タイルの落下は、建物を傷つけるだけではなく、人命にも大きく関わる問題なので、必ず定期的な点検・メンテナンスを行うようにしましょう。
タイルの劣化症状は次の通りです。劣化を放置しているとタイルの落下や雨漏りに繋がる危険性もあるので、建物の保護や入居者の生活を守る為にも早めに修繕工事を行うようにしましょう。
タイルの浮きは、下地のコンクリートやモルタルの接着力が低下することによって発生します。浮きを放置していると最終的にタイルが剥がれて落下する可能性もあるので、早めの補修が必要となります。
タイルの欠損や亀裂は、下地の接着力の低下や地震などのよる振動が原因で発生します。
欠損や亀裂は美観が損なわれるだけではなく、生じた隙間から雨水が浸入して雨漏りに発展する恐れもあるため、早急に適切な処置を行うことが重要です。
タイルの補修方法には、主に次のようなものがあります。
欠損や亀裂が見られる時や劣化が広範囲に広がっている場合は、劣化箇所のタイルを剥がして新しいものに張り替えます。張り替えを行う際は、一度タイルを剥がした部分の接着力は失われるため、新しいタイルが密着するようにモルタルを塗り直して下地を調整していきます。
タイルの張り替えにかかる費用は、1枚当たり500円~700円が相場です。
タイル張り替えの注意点として、既存のタイルと同じ商品の製造が終了していたり、自分自身で予備のタイルを保管していない場合は、同じタイルを用意できない可能性があります。
既存のタイルと同じタイルがない場合は、似ている汎用品を使うか、特注品を用いることになります。
また、既存のタイルと異なるものを使用すると風合いが変わったり、色の違いが目立つことがあるため、今までと同じ外観を維持するのが難しい場合があります。
タイルの浮きが発生している場合は、アンカーピンニング工法を行います。
アンカーピンニング工法とは、ドリルでタイルや目地に穴を開けて、浮きによって生じた隙間にエポキシ樹脂を流し込んで埋め、さらにアンカーピンを打ち込んでタイルと躯体を固定させる方法です。
アンカーピンを打ち込んだ後は、はみ出したエポキシ樹脂を綺麗に拭き取り、パテなどで穴を埋めて完了です。
浮きの補修にかかる費用は、1箇所あたり500円~900円が相場となります。
外壁タイルの補修費用に関しては「実数精算方式」を採用するのが一般的です。
実数精算方式の場合は、実際に補修したタイルの数や施工範囲で費用が確定します。実数精算方式を用いる理由は、修繕範囲や数量は足場を設置してからではないと正確に判断できないからです。
通常、外壁塗装やリフォーム工事などの見積書は数量や金額が確定されていますが、タイルの修繕工事の見積もりでは、想定されるおおよその数量や費用を提示します。
そのため、当初の見積もり金額よりも高くなる可能性もあり、追加費用がかかるケースも考えられます。
基本的に、タイルは塗装が不要な外壁材です。
しかし、色褪せや汚れの付着などが気になる場合は、美観の向上を目的に塗装をすることが可能です。また、塗装は目地部分の保護や防水性の高めることにも繋がります。
タイル塗装の場合は、クリヤー塗料を使用するのがお勧めです。クリヤー塗料であればタイルのデザインをそのまま生かしつつ、艶のある綺麗な外壁を取り戻せます。
タイルは、JIS規格の素地の吸水率によって3種類に分かれています。
磁器質は1,250℃以上の高温で焼き固めたタイルです。吸水性が3%以下と非常に低いため、汚れにくく耐久性に優れている特徴があります。
外壁のタイルとしてよく使用されており、その他にも水回りや商業施設の床など様々な場所で用いられています。
せっ器質は1,200℃前後で焼き固めたタイルで、吸水性は10%以下です。磁器質のほどの硬さはありませんが、耐久性が高く、表面の加工もしやすい特徴があります。
そのため、個性を活かしたデザイン性のある外壁にしたい場合は、せっ器質のタイルが向いています。
陶器質は1,000℃以上の高温で焼き固めたタイルで、吸水率50%以下となります。上記2種類に比べると硬さや耐久性は劣りますが、変色や劣化が進行しにくいといった特徴を持ちます。
陶器質のタイルは主に内装に使用され、釉薬によるコーティングを施したものはデザイン性も高いです。
タイルの形状は、主に2種類あります。
平物タイルとは、表面が平らで正方形または長方形のタイルを指します。最も一般的な形状で、タイルと聞いてイメージするのがこの平物タイルかと思います。
また、複数の平物タイルを連結して並べたものを「ユニットタイル」と言います。ユニットタイルの場合は、タイルの裏にシートやネット状の台紙を貼り付けることにより、タイルを施工する際の作業効率を上げることができます。
役物タイルとは、コーナー部や開口部などの平物タイルが使えない箇所に用いるタイルです。基本的にはL字型になっており、施工場所に形に合ったものを使用します。
外壁タイルは、平物タイルと役物タイルを組み合わせて張られており、役物タイルも綺麗に仕上げる為には欠かせないものになります。
タイルのサイズは数種類ありますが、主にマンションやビルで採用されているのは次の3種類です。
二丁掛タイルは227mm×60mmのタイルで、積レンガのようなサイズ感が特徴です。
大きめのサイズなので素材の質感も表しやすく、デザイン性のバリエーションも豊富にあるため、マンションやビルの外壁でもよく使用されています。
ボーダータイルは、基本的には実寸227mm×30mmのタイルですが、ボーダータイルの中でも種類が豊富でサイズも様々です。
デザイン性が高く、美観にも優れているので、人気が高まってきているタイルになります。
45二丁タイルは45mm×95mmのタイルで、基本的には目地を含めた300mm×300mmのユニットタイプを使うのが一般的です。
耐久性に優れており、比較的安価な種類になります。また、ユニットタイプであれば施工もしやすいため、工事費用も抑えられるといったメリットもあります。
アパートやマンションの大規模修繕で失敗しないためには、仲介マージンがかからない自社施工管理で実績豊富な会社に依頼することです。
私どもアパマン修繕テックでは、創業55年の実績があり様々な建物の修繕工事をお客様の要望に合わせて施工してきました。
建物を丸ごと修繕できれば一番良いのですが、予算や収益計画の関係で難しいこともあると思います。
そのようなお客様には、早急に必要な箇所だけを修繕し、劣化状況から急ぐ必要がない箇所は数年後に修繕する。と言ったプランを組み立てることもできます。
オーナー様は不動産運用のプロかもしれませんが、建物を劣化診断をするプロではないと思います。
修繕に関することは、プロである私どもアパマン修繕テックにお任せください!無料で診断いたしますのでお気軽にお問い合わせください。